サフトバッテリー、はやぶさ 2 ミッションで、史上初の自走式小惑星着陸機・MASCOT に電力を供給
- サフト社・リチウム系バッテリーシステム、小惑星着陸機 MASCOT に安定した電力を供給、小惑星探査研究者に合計16 時間分の観察データの収集・送信を達成。
2018 年 10 月 12 日・パリ—宇宙用バッテリーのマーケットリーダーであるサフト社は、電源にサフトバッテリーシステムを採用した太陽系の 起源を研究するために設計された小惑星着陸機 MASCOT(Mobile Asteroid Surface Scout)のミッション成功を誇りに思っています。MASCOT に搭載されたサフトバッテリーシステムの安定した電力供給により、機内に装備する科学観測機器、コンピューター、ナビゲーションセンサーおよび通信システムを稼動、さらには、人類初ともなる、小惑星表面の測定地点間を移動する"ホッピング"ミッションの達成にも寄与しました。
サフト一次電池塩化チオニルバッテリーシステム(フランス・ポワティエで製造)は、MASCOT の唯一の電源としてフランスの宇宙機関 CNES により選ばれました。特徴である超軽量、高い電気容量、激しい衝撃と振動に対する強い耐久性に加え、何より、はやぶさ 2 打ち上げから待機期間 4 年を経てバッテリーシステムの正常起動を求められたことから、その長い保存性(貯蔵寿命)は非常に重要であるとして認められました。
当社サフトのバッテリーは、16 時間分のデータを小惑星研究者に提供するという偉大なる成果とともに、これまでは考えられなかった、高度な機上システムを搭載した飛行船の実現に貢献しました。この成功は、50 年に渡り宇宙探査ミッションにバッテリーを提供してきた当社の経験に基づいています。
アニー・セネット副社長 サフト社宇宙・防衛部門探査機・はやぶさ 2 は、2014 年 12 月の打ち上げ後、小惑星リュウグウに到達しました。MASCOT は、母船・はやぶさからの分離後に惑星表面に着陸し、豊富な炭素を有するリュウグウ表層の観測を行いました。小惑星の組成の把握により、地球上の水の形成や生命の出現など太陽系初期に関する洞察が得られることから、MASCOT が採取した原位置解析データは、地球に送信され今後のさらなる研究に活かされます。
着陸機・MASCOT には、2014 年の彗星探査機ロゼッタ・ミッションで搭載された無人着陸機・フィラエ(Philae 欧州コンソーシアムが開発、地球からの距離 7 億 2000 万キロメートルの彗星に着陸)のバッテリーと同型のものが使用されています。フィラエで、64 時間に渡る科学活動に電力を供給したことにより、宇宙探査ミッションにおけるサフトバッテリーシステムの信頼性が実証されました。